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MS-10:

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   概要  ウンチク  その他
MS-10 はこんな音

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  ウンチク :

●MS-10 は,MS-20,MS-50 と同時に発売された MS シリーズの最低価格機種である。しかし,1 VCO/1 VCF/1 VCA/1 EG/1 LFO にパッチ・ボードという基本的な機能は全て装備されており,入門者やお金のない人に人気の機種だった。


●音色は VCF のレゾナンスを上げた時のビチャビチャした感じのアシッド系サウンドに特徴がある。低価格帯のシンセとしては,前年発売されていた ROLAND の SH-09 やヤマハの CS-5 などがあったが,MS-10 にはパッチ・ボードがついていて音作りの範囲が広いということで,この楽器を選択する人も多かった。


●パッチ・ボードがついて音作りの可能性は広いが,相変わらず内部は KORG 独自の CV コントロール仕様となっている。したがって,MS シリーズだけで音作りをしようとする場合には問題はないが,他社のシンセサイザーや,当時そろそろ使われ始めていたデジタル・シーケンサーを使用して複雑な音楽作りをするためには,インターフェイスを買う必要が出てくる(厳密な事を言わなければインターフェイス無しでもなんとかなる)。ユーザーは,初期投資は安いが拡張分を考えると割高になる,という難しい選択を迫られたのである。


●VCF のピークは他社のレゾナンスと同じである。MS-10 のピークは10まで上げると自己発振もする。しかし, MS-10 ではパッチしなければキーボードCV を VCF に送ることはできない。しかも,キーボードCVは Hz/V 仕様なのに,VCFの CV 外部入力は Oct/V 仕様になっており,そのままパッチしても正しい音程は得られない。VCF の発振音で音階を作るためには MS-10 のキーボードCV を一度外部のインターフェイスに送り,変換した CV を MS-10 の VCF 外部 CV インに戻すという自己矛盾が発生してしまう。


●整理して書くと,MS シリーズでは,

 1:キーボードCV は 0 ~ + 8V の Hz/V

 2:VCO と VCF のの外部 CV 入力は - 5V ~ + 5V の Oct/V

 3:VCA の外部CV 入力は 0V ~ + 5V

 という規格になる。よくこれで内部ではつじつまがあっているものだと,感心してしまう。ちなみに Hz/V のキーボードCV を Oct/V の VCO に送ると,鍵盤の低い音域では出てくる音程の幅は狭く,高い音域を弾くにしたがって音程の開きが大きくなっていき一番上の方では半音で1オクターブ近く音程が変わってしまう。この場合にはインターフェイスをかまさない限り,いくらボリュームを調整しても正しい音階は作れないので注意しよう!


●モジュレーション・ジェネレーター(MG)は一般的シンセの LFO にあたる。通常は鋸歯状波/三角波が VCO/VCF に内部結線されている。VCO/VCF に矩形波/パルス波を送りたいときにはパッチをする必要がある。MS-10 の MG は波形切替がスイッチではなくボリュームにより連続的に行える。この機能はなかなかユニークだ。鋸歯状波/三角波では,ボリューム 0 が通常の鋸歯状波,センターでは三角波,10 の位置では鋸歯状波の波形の向きが 0 の時と前後逆になる。もっとも,それぞれの中間位置での波形の違いをビブラート使用時などで判断できるか?と言われると言葉につまりますが...まあ,ヲタク心あふれる私としてはこういう機能が好きだ,ということで...


●音色的には面白い部分もあるが,外部とのインターフェイスを考えると決して使いやすい機種ではないのに MS-20 とともに 1994 年頃に需要が伸び,品薄となって値段が極端に高くなるというバカな現象が起きてしまった。一時は両機とも中古なのに1979年に発売された時よりも高い値段がついたりしていた。まあ需要と供給の関係というか経済原理の基本というか...

 ちなみに 1995 年に入り値段は多少下降傾向にある。なお値段が底値だった 1980 年代前半~中盤頃はただのポンコツ楽器として二束三文で取り引きされていた。欲しい人はもうしばらく我慢して値段が落ち着くのを待つのが得策である。

 一番バカバカしいのはビンテージ・シンセ・ショップの値段を参考にして,メンテもしていないガタガタのMSシリーズを,ショップと同じか下手するとそれより高い値段で売ろうとするアマチュアから買うことである。ビンテージ・ショップの値段はメンテ/保証というサービスがあって,あの値段なのだということを忘れてはならない。また値段が高いのにメンテも保証もない,などというショップからも買うべきではない。




外部とのインターフェイス

CV/ゲートのイン/アウト:あり。

 ただし Hz/V と Oct/V が混在しているため,外部との接続には MS-02 等のインターフェイスがあったほうが便利。

MIDI:改造は不可能